神戸地方裁判所 平成3年(行ウ)32号 判決 1992年11月25日
原告
成和工業株式会社
右代表者代表取締役
福﨑敏和
被告
兵庫税務署長
十倉功雄
右指定代理人
塚本伊平
外四名
主文
一 原告の請求を棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一請求
原告の昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度分の法人税について、被告が平成二年六月二五日付けでした所得金額を金六一七万六六三三円、税額を金一八一万六一〇〇円とする更正処分のうち、所得金額につき金一〇四万九六三一円、税額につき金三一万四七〇〇円の部分を取り消す。
第二事案の概要
本件は、原告が、被告のした更正処分中の交際費不算入額を増加した部分には旅行費用等として損金に算入されるべきものが含まれており、その限度で被告の更正処分は違法であると主張して、その一部の取消しを求めた事案である。
一本件処分の存在等(当事者間に争いがない。)
1 原告は、平成二年二月二八日、昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度(以下「平成元年度」という。)分の法人税について、別表(一)「確定申告」欄記載のとおり、所得金額を三七五万三〇〇二円、税額を一〇八万九二〇〇円とする確定申告をした。
2 被告は、平成二年六月二五日付けで、原告の右平成元年度の法人税について、別表(一)「更正処分等」欄記載のとおり、所得金額を六一七万六六三三円、税額を一八一万六一〇〇円と更正する旨の処分(以下「本件更正処分」という。)及び加算税額を七万二〇〇〇円とする過少申告加算税の賦課決定処分(以下、併せて「本件処分」という。)をした。
3 右更正処分における申告所得金額三七五万三〇〇二円と更正所得金額六一七万六六三三円の差額の内訳は、次のとおりである。
(一) 費用の繰上げ計上につき資産に計上すべき金額とする額
一三三万九〇〇〇円(別表(二)の⑤)
(二) 交際費等の損金不算入額の増加とする額
一〇八万四六三一円(別表(二)の②ないし④)
4 原告は、平成二年八月二一日、被告に対し、本件処分は、右3(二)のうち三万五〇〇〇円(別表(二)の②のうち五〇〇〇円及び④)を超える限度で違法であるとして、その取消しを求めて異議の申立てをしたが、被告は、平成二年一一月一九日、右申立てを棄却する旨の決定をし、同決定書の謄本は、同月二一日、原告に到達した。
5 原告は、平成二年一二月一九日、国税不服審判所長に対し審査請求をしたが、国税不服審判所長は、平成三年七月五日、右審査請求を棄却する旨の裁決をし、右裁決書の謄本は、同月一九日、原告に到達した。
6 被告が交際費等に当たるとして損金として算入しなかった(租税特別措置法(以下「措置法」という。)六二条一項)一〇八万四六三一円のうち、原告が違法だと主張する三万五〇〇〇円を超える部分(以下「本件支出」という。)についての支出の内容は、別表(三)の「支出内容」欄記載のとおりであり、いずれも、一部の従業員を対象として、慰労のために社外の居酒屋、中華料理店等に支払った酒食の提供費用である。
二争点
本件の争点は、本件支出が法人の所得の計算上損金に算入されない交際費等(措置法六二条三項)に該当するか否かであるが、その前提として、①従業員に対する支出であっても交際費等になることがあるか、②本件支出が専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用(同法同条同項括弧書き。以下「旅行費用等」という。)に当たるか、が問題となる。
第三争点に対する判断
一従業員に対する支出が交際費等に当たるか
1 措置法六二条は、一定以上の交際費の額については所得の金額の計算上損金の額に算入しない旨規定し、同法同条三項本文は、損金として算入されない「交際費等」とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。」と規定している。
2 本件支出が原告の従業員の慰労のために社外の居酒屋、中華料理店等に支払った酒食の提供費用であることは前述のとおり当事者間に争いがないから、その支出の名目は福利厚生費及び会議費となっているものの、本件支出は、対象者はともかく、措置法六二条三項にいう「慰安」のために支出することを目的としていたと認められる。
3 ところで、いわゆる交際、接待などに費やされる交際費等は、そのかなりの部分が営業上の必要に基づくものであり、本来的には営業上の必要に基づく支出である限り、事業経費として損金に算入されるべきものである。しかし、交際費等の支出を法人の自制に任せるときは、従業員に対する給与が交際費等の形で支出されたり、役員若しくは従業員の私的な接待又は事業上の必要を超えた接待に使われ、冗費濫費を生じる傾向にあるため、それらの弊害を抑制し、資本の充実・蓄積等を促進するという政策目的から、前記条項を定めて、本来損金に含まれるべきはずの法人の交際費のうち一定額を超えるものを特別に損金不算入とする例外を設けたと解することができる。
原告は、これに対し、措置法六二条は、例外を定めたものではなく、交際費を損金不算入とする原則を定めたものであり、前提が誤っている旨主張する。確かに、同法同条三項括弧書きとの関係だけを考えるなら、交際費を損金に算入しないというのが原則といえるものの、本来損金に算入すべき事業経費との関係を考慮するならば、交際費等を損金に算入しないというのは、例外と解することができるのであり、このことは、措置法が、わざわざ、第三章「法人税の特例」、第五節「交際費等の課税の特例」の下に同条項を設けたことからも推知することができ、原告の非難は当たらない。
この点に関し、原告は、法人が交際費を使わなかった場合には資本の蓄積・充実を促進するものの、法人が交際費を支出する場合には資本維持等に対する阻害要因として働くこと、一定規模以下の法人については一定以上の交際費の額が損金に算入されるだけなのに、多額の交際費を要する大規模法人については全額が損金として算入されることなどを挙げ、前記条項の趣旨は資本の蓄積・充実の促進ではないと主張する。しかし、法人が交際費を支出した場合には税額の控除が受けられないという一種の制裁を予告することによって、冗費濫費を抑制し、資本の充実維持を図るのが前記法の趣旨であるから、それにもかかわらず交際費を支出した場合に不利益を受けるのは当然のことで、それによってはじめて政策目的達成への圧力となりうるのであり、そのことが前記解釈の妨げになるわけではない。法人の規模による取扱いの差異についても、法人の規模が大きければ、交際費の額も高額になりがちで、利害関係者も多くなりその社内に留保すべき担保としての資本を維持させる要請も強くなるのであるから、大規模法人に対して中小規模の法人に対するよりも厳格な規制をしたとしても何ら不自然なことはなく、そのことで前記条項の解釈が妨げられるわけではなく、原告の主張は採用することができない。
4 右条項の趣旨からすれば、冗費濫費のおそれがあるのは、法人が取引先等のために支出した場合だけでなく、法人がその役員や従業員のために支出した場合も同様であり、また、措置法六二条三項括弧書きは、交際費等の範囲から「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用」を除いており、従業員に対するこれらの支出が本来的には交際費等に当たるべきものであることを前提としていると解することができるから、同項の「その得意先、仕入先その他事業に関係ある者」とは、得意先、仕入先だけでなく、当該費用を支出した法人の役員及び従業員(以下「従業員等」という。)も含まれると解するのが相当である。
原告は、交際費は、企業が得意先又は得意先となる可能性のある相手企業の経営者又は購買担当者に対して自己に対する好意感情を振起して取引の増進円滑等を図るために支出するものであるから、法的、組織的、経済的に企業に従属している労働者である従業員等に対して本質的に支出する性質のものではなく、従業員等のために交際費を支出するなら、従業員を増長させ、支出を受けた者とそうでない者との間の不和反目などの弊害が生じるから、法人が従業員等のために支出するものは、交際費ではないと主張する。しかし、同条にわざわざ「交際費等」について定義が規定されているのであるから、その意味するところについては、同条の立法趣旨を踏まえてそれを解釈すればそれで足りるのであり、原告のように同法六二条の解釈を離れた一般論でその意味を限定しなければならない必然性もない。また、従業員に対して交際費を支出することで原告が主張するような弊害が生じるのであれば、これと同様の費用を交際費といわずに福利厚生費として支出したとしても単なる名目の違いにすぎず、その実体に特段の違いが生じるわけではないのであるから、そのような費用の支出を抑制する根拠になっても、損金に算入しない範囲から除外する根拠にはならないのであり、原告の主張はいずれも採用することができない。
5 以上のとおり、法人がその従業員の慰労のために費用を支出した場合も、措置法六二条に定める交際費等に当たることがありうるのであり、本件支出は、従業員の慰安のために支出した費用であるから、同条三項括弧書きの旅行費用等に当たらない限り、交際費等に当たるということができる。
二本件支出が旅行費用等に当たるか
1 措置法六二条三項括弧書きは、同項本文に続けて、「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用…を除く。」と規定し、旅行費用等を同法同条の交際費等の範囲から除外する旨規定している。
2 このような費用も従業員等の慰安のために支出されるものであるから、本来は、前述の交際費等に該当するはずのものであるが、これらの費用は従業員等に対する福利厚生費的な性質を有するものであり、通常要する程度の額である限り法人において負担するのが相当なものである。
ところで、福利厚生費は、当該企業に所属する従業員の労働力の確保とその向上を図るために支出されるものである。しかし、このような趣旨のものであっても、それが特定の者に対してだけ支出されたり、従業員各人によってその支出の内容が異なり、仮にある従業員に対する支出が社会通念上、福利厚生費として多額なものである場合には、右超過部分は、実質的には従業員に対する給与となるものである。この点において、前述のような旅行費用等は、通常、従業員全員が、各人の労働の質、量、能率等にかかわらず、当該企業に所属していれば誰でも同様の給付を受けることができるという原則で運営されるものであるから、その額がそれらの行事に通常要する費用を超えない限り、冗費濫費の抑制という法の趣旨に反しないということができるから、損金に算入することを認めないという特別の扱いをする必要がなく、旅行費用等を交際費等の範囲から除外したものと解することができる。
したがって、措置法六二条三項括弧書きの旅行費用等とは、法人が当該法人に所属する従業員の労働力の確保とその向上を図るために支出するもので当該法人がそれを支出するのが相当であるというだけでなく、従業員全員が参加の対象として予定されたものであることを要すると解するのが相当である。
3 原告は、この点について、種々の主張をするが、いずれも、次のとおり独自の見解であって採用することはできない。
(一) 原告は、措置法通達62(1)―9の(2)が、従業員(従業員であった者を含む。)又はその親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支出される金品に要する費用は交際費等に含まないとしていることを取り上げ、これらの金品は、業務災害、業務疾病に関するものを除いて、慰安よりも交際の性質が強く、一定の基準に該当する者に対してだけ支出するものであるのに福利厚生費とされているのであるから、福利厚生費は、従業員全員に対するものに限るのではなく、個々の従業員の労働従事状況、法人に対する貢献度により柔軟に評価しなければならないと主張する。しかし、個々の従業員について労働従事状況、法人に対する貢献度により柔軟に評価して支出するならば、前述のとおり、その実質は労働の対償としての給与の性格を帯びるのであるから、このような支出を福利厚生費として交際費等から除外することができると解することはできない。また、右通達は、慶弔禍福金等が交際費から除外されるためには、一定の基準に従って支出されることを要求しているが、ここでいう基準は慶弔禍福金の内容を規制するものであって、支出される費用が慶弔禍福金として通常必要な金額の範囲に止まるようにするための基準であり、従業員にとっては、慶弔禍福に該当する事由が発生しさえすれば、各人の労働の質、量、能率等にかかわらず誰でも支出を受けることができるのであるから、全従業員を対象にしているものということができるのであり、そのようなものである限り、法の趣旨に反することはないのであるから、原告の右主張は採用することができない。
(二) 原告は、措置法六二条三項括弧書きが、旅行等と規定し旅行に限定しているわけではなく、所得税基本通達36―30が、使用者が負担するレクリエーション旅行に参加した従業員等が受ける経済的利益について、三泊四日(海外旅行の場合は現地滞在日数)以内で、費用の五〇パーセント以上を使用者が支出し、参加する従業員の数が全従業員(工場、支店等で行う場合は当該工場、支店等の従業員等)の五〇パーセント以上であれば、原則として課税しなくてもよいとしていることを取り上げ、旅行よりも安価な酒食の提供は福利厚生費に当たり、全員参加である必要もないと主張する。確かに、措置法六二条三項括弧書きの旅行等が例示であることは条文の体裁からも明らかであり、酒食であってもここでいう旅行費用等に当たる場合があることはいうまでもない。また、右通達は慰安旅行によって従業員が受けた経済的利益を所得税の課税上どのように取り扱うかの基準について、右通達の範囲内のものであれば社内旅行として通常行われているようなものであるとして、所得税を課さない趣旨を明らかにしたものであるから、措置法六二条三項括弧書きの旅行費用等との関係においても、社内旅行において通常要する費用かどうかの参考になりうるものである。しかし、それは、あくまで旅行として通常のものと認められるための基準であり、酒食において通常要する費用であると認められるための基準は当然別のものとなり、酒食が旅行より安価であるからといって当然に旅行費用等になるわけではない。また、右通達の記載中、全従業員の五〇パーセントの従業員が参加していればよいというのは、その文言上からも、実際に旅行に参加した人数のことを指すのは明らかであり、五〇パーセントの従業員を対象にした旅行であってもよいというわけではなく、これを根拠に、全員参加が予定されているものである必要がないということはできない。
(三) 原告は、従業員全部に対するものは福利厚生費であるが一部に対するものは交際費であるとの被告の主張は、法文上どこにも見られず法的に根拠がなく、その基準によると非常識な結論になると主張する。しかし、右基準の根拠については今まで論じてきたとおりであり、結論の妥当性についても、個別な酒食の提供であっても法人内部の慶弔禍福の基準に適合するものであれば福利厚生費と認められる場合もあり、全員に対するものであっても通常行われるような程度を超えていたり、法人が負担するのが相当でないような場合は交際費に当たる場合もあり、必ずしも非常識な結果になるということはできず、この点においても原告の非難は当たらない。
(四) 原告は、中規模以上の法人や一定の業種の小規模法人においては、全従業員が参加する行事を行うことは不可能であり、原告においても同様であり、また、熾烈、危険、悪条件(厳寒、酷暑)又は多忙等特別な条件の下で業務に従事する従業員に対して、適宜の方法により行う慰安のための支出は福利厚生費である、と主張する。確かに、企業によっては、全員参加の行事が困難な場合があることは否定できず、原告のように他の複数の企業において従業員を就労させている場合も、全員参加の行事は困難であろうと想像される。しかし、就労部署毎に慰労を行うことが認められるとしても、その慰安の内容が社会通念上一般的に行われるものであり、かつ、その内容、費用の支出について、一定の基準に従ったものであることが必要であると解すべきところ、本件支出は別表(三)のとおり、その支払の相手先も支払額も多様であり同一基準によって支出されているということはできないから、やはり、福利厚生費に当たるということはできない。このことは、従業員が特別の努力を要する業務に従事していたとしても同様であり、慰安として通常必要な費用の額が異なることはありえても、特別な業務であるからといって、一部の従業員に対してのみ支出される内容の支出を福利厚生費ということはできない。なお、右のような特別の状況のもとでの勤務は、そもそも労働の対償である給与として評価すべきものであって、福利厚生費として処理すべきものではなく、この点においても、原告の右主張は採用することができない。
(五) 原告は、労働者との使用従属関係において優位にある企業は労働者の人格尊重及び企業の営利追求の見地から福利厚生を重視しなければならないが、中小企業にとっては、住居、保養所等の施設の整備、融資、生活保障等多額の資金を要するものはできないから、慰労のための酒食の提供をするのであると主張し、本件支出が福利厚生費であることを基礎付けようとする。法人が従業員の福利厚生を重視するのはもっともなことであるが、その給付が福利厚生費として相当な程度を超えている場合にも、交際費等の範囲から除外する根拠となるものではなく、必要性があることと施設の整備等をするような資金がないことをもって、福利厚生費として許容される程度を超えた酒食を福利厚生費として扱うことはできない。
4 なお、原告は、本件支出の一部について、業務打合せを兼ねていたと主張するので、この点についても検討する。
措置法六二条三項括弧書きは、同項本文に続けて、同条の交際費等の範囲から「政令で定める費用を除く。」と規定し、これを受けた措置法施行令三八条の二(交際費等の範囲)第二号は、「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を提供するために通常要する費用」は、交際費から除かれると規定し、これらの費用を交際費等の範囲から除外している。
法人が得意先又は従業員と販売の促進あるいは業務の打合せ等の会議(以下「会議」という。)をする場合には、それに伴って酒食の提供等をすることがあるが、そのようなものも、本来的には交際費等に当たりうるものであるが、法は、右条項に規定するようなものであれば、冗費濫費に及ぶおそれがないとして、交際費等の範囲から除外することを認めたものである。したがって、右除外の趣旨から、「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を提供するために通常要する費用」というのは、冗費濫費のおそれがないような、会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常提供される昼食程度を超えない飲食物等の接待に要する費用のことであると解すべきであり、このようなものである限り、その全額が交際費等から除外される。このことは、会議が社外の会場を借りて行われた場合であっても同様であるが、いずれにしても、支出の前提になる会合が会議の実体を備えたものでなければならないものであり、会議が単なる名目、形式にすぎず、会議としての実体を備えているということはできない場合は、その費用を交際費等の範囲から除外することはできない。そして、会議が実体を備えているかどうかは、開催場所、会議の議題及び内容並びに支出内容等を総合的に検討して判断すべきである。
本件支出中、別表(三)の47ないし53の支出は、科目が会議費となっているが、開催場所は、焼鳥屋、焼肉店、ステーキハウス、割烹店等であって、通常会議が行われるには相応しくない場所であり、その議題、内容等が帳簿上明らかになっておらず、また、支出内容についても、科目が福利厚生費とされている1、3番その他の支出内容と同一の「従業員打合せ会食代」と記載されていることなどを併せて考慮すれば、右支出は、会議費と記載されてはいるが、それは単に名目、形式にすぎず、その支出の原因になった会合は、会議としての実体を備えていないものと推認することができる。
別表(一)
課税の経緯 自 昭和64年1月1日
至 平成元年12月31日
(単位:円)
区 分
受理又は処分等
年月日
所得金額
納付すべき
税額
過少申告
加算税額
確定申告
平成2年2月28日
3,753,002
1,089,200
-
更生処分等
平成2年6月25日
6,176,633
1,816,100
72,000
異議申立て
平成2年8月21日
5,127,002
1,506,600
41,000
異義決定
平成2年11月19日
棄 却
審査請求
平成2年12月19日
5,127,002
1,506,600
41,000
裁 決
平成3年7月5日
棄 却
別表(二)
原告の係争事業年度の所得金額
(単位:円)
区 分
自 昭和64年 1月 1日
至 平成元年 12月31日
申告所得金額
①
3,753,002
加算金額
福利厚生費
②
979,994
会議費
③
74,637
旅費交通費
④
30,000
雑 費
⑤
1,339,000
加算金合計(②+③+④+⑤)
⑥
2,423,631
所得金額(①+⑥)
⑦
6,176,633
別表(三)
番号
科目
計上年月日
支払い金額
支払相手先
支出内容
1
福利厚生費
平成
元年. 3.1
154,912円
東明閣
従業員打合せ会食代
2
〃
元年. 3.9
16,500
焼肉映ちゃん
従業員会食代
3
〃
元年. 3.13
25,752
東明閣
従業員打合せ会食代
4
〃
元年. 4.3
19,630
じゅう八福知山店
従業員会食代
5
〃
元年. 4.3
14,100
お好み焼きどんたく
従業員会食代
6
〃
元年. 4.3
14,110
定食・中華味平
従業員会食代
7
〃
元年. 5.2
28,200
串かつ専門店八喜為
従業員打合せ会食代
8
〃
元年. 5.15
18,540
濱正
作業打合せ会食代
9
〃
元年. 5.29
13,500
濱正
従業員打合せ会食代
10
〃
元年. 5.30
13,140
定食・中華味平
従業員打合せ会食代
11
〃
元年. 5.30
14,500
和良美
従業員打合せ会食代
12
〃
元年. 6.3
89,428
東明閣
従業員懇親会会食代
13
〃
元年. 6.6
16,737
一番街西鈴
従業員募集先へ
贈答用お菓子代
14
〃
元年. 7.17
4,950
耀明飯店
従業員親睦会食代
15
〃
元年. 8.8
38,000
みさ代
従業員親睦会食代
16
〃
元年. .8
24,205
濱正
従業員親睦会食代
17
〃
元年. 8.16
14,700
青柳寿し
従業員懇親会会食代
18
〃
元年. 8.16
17,800
焼肉映ちゃん
従業員懇親会会食代
19
〃
元年. 8.24
14,140
みさお
従業員懇親会会食代
20
〃
元年. 8.24
15,300
濱正
従業員懇親会会食代
21
〃
元年. 8.24
16,100
酒房呑気屋
従業員懇親会会食代
22
〃
元年. 9.4
2,250
中店
従業員打合せ等飲食代
23
〃
元年. 9.4
7,500
割烹ひろ栄
従業員打合せ等飲食代
24
〃
元年. 9.4
9,660
居酒屋くろ兵エ衛
従業員親睦魚つり代
25
〃
元年. 9.4
14,630
まるも食堂
従業員親睦魚つり代
26
〃
元年. 9.4
10,200
湯浅しょうゆ
従業員親睦魚つり代
27
〃
元年. 9.4
41,800
乗合船あしか丸
従業員親睦魚つり代
28
〃
元年. 10.2
15,500
シャネル
従業員懇親会食代
5 以上のとおり、本件支出は、いずれも福利厚生費又は会議費として交際費等の範囲から除外されるべき支出ではなく、損金に算入することのできない交際費等に当たる。
第三結論
よって本件支出を交際費であると認定して被告がした本件更正処分は正当であり、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官辻忠雄 裁判官吉野孝義 裁判官北川和郎)